dots(ドッツ)は、OpenAIが2026年9月29日に発表した、ChatGPT内で継続的な仕事を担うAIエージェントです。 AIエージェントとは、目標に向けて必要な手順を考え、ツールを使って作業を進めるAIを指します。dotsは専用のクラウドコンピューターを持ち、会話していない間も作業を進められる設計です。OpenAI公式発表

この記事では、2026年10月7日時点の公式資料をもとに、dotsの仕組みや利用条件、始め方を紹介します。限定提供中の機能や今後の構想にも触れ、最後にCXへの活用の可能性を考えます。


dotsはどのように仕事を進めるのか

dotsの特徴は、目標や仕事の経緯を引き継ぎながら、会話の合間にも取り組みを続けることです。

利用者ごとのエージェントを「dot」と呼びます。利用者は自分のdotに、達成したいことと任せる範囲を伝えます。dotは作業を進め、結果を持ち帰り、判断が必要な場面では利用者に確認します。基盤となるAIモデルはGPT-6 Astraです。dotsの公式ガイド

作業場所となるクラウドコンピューターは、利用者のPCとは別の環境です。自分のPCを接続するかは選択できます。クラウド上の作業は手元のPCを閉じても継続できますが、接続したPC上で作業させる場合は、そのPCをオンラインにし、ChatGPTアプリを開いておく必要があります。コンピューターとアプリの接続

継続的な仕事では、ChatGPTのメモリーやdot独自のメモが文脈を支えます。好みや修正指示を次の作業に生かす仕組みであり、すべての会話を完全に記憶することを保証するものではありません。タスクとメモリー


dotsでできること

情報を調べ、資料を作り、状況の変化に応じて仕事を更新する用途が公式に紹介されています。

OpenAIは、外部アプリと連携する拡張機能「プラグイン」を通じて、4,000以上のアプリに接続できると説明しています。ただし、実際に使える接続先や操作は、利用者が許可した権限などの条件によります。公式発表・権限に関するFAQ

公式に紹介されている用途には、次のようなものがあります。いずれも任せる仕事の例であり、実際の導入効果を示したものではありません。

仕事の場面dotsが担う作業の例人が確認すること
製品開発顧客から寄せられた意見を確認し、小さな改善や不具合修正を実装・テストする提案された変更の内容
販売・提案顧客要件と製品資料を照合し、提案書や検証計画を更新する顧客への約束や残る懸念
コンテンツ制作インタビュー記録から要点を拾い、紹介文やSNS投稿案を作る公開・送信する内容

利用には、仕事に必要な資料やツールへのアクセスを許可します。詳しいシナリオはOpenAIの用途紹介で確認できます。

連絡にはChatGPTのほか、SlackやMicrosoft Teamsを使えます。連絡先を接続することと、業務アプリや自分のPCを操作する権限を与えることは別です。連絡方法の公式ガイド


日本で使える?対象プランと料金・利用枠

日本は提供条件上の対象に含まれますが、対象プランでもアカウントへの反映は段階的です。

公式ヘルプでは、ProとBusiness Premiumが提供対象です。Proの除外地域は欧州経済領域・スイス・英国で、日本は含まれません。Enterpriseは、Edu・Healthcareを含め、管理者が有効にした場合にベータ版を利用できます。18歳未満には未提供です。提供条件・対応国・年齢条件

最初のdotは、ProまたはBusiness Premiumの料金に含まれ、追加料金はかかりません。ただし、これは無料プランで使えるという意味ではありません。料金の公式説明

利用枠は次のように区別されています。利用枠の公式説明

  • dotとの会話は、ChatGPTの利用上限にカウントされません。
  • より本格的な作業には利用枠があり、サービスの提供開始後、最初の1か月は拡大されます。
  • dotが開始・管理する別の作業機能、ChatGPT Workや開発支援のCodexのタスクは、それぞれ通常どおり利用上限にカウントされます。

自分のアカウントでいつから使えるか、どの利用枠が適用されるかは、アカウントに表示される案内で確認してください。契約を検討する際にも、プラン名だけで判断せず、実際の提供条件を確かめておきましょう。


使い始める前に知っておきたいこと

dotsにはアクセス権限や承認の仕組みがあり、常時稼働できることだけで、あらゆる操作が許可されるわけではありません。

先回りの調査と、送信・変更は別の扱い

dotsは接続済みの情報源を調べ、役立つことを探す「proactive research」という背景調査を行います。この調査用ツールは読み取り専用で、メッセージ送信、アプリの内容変更、ブラウザーやPCの操作はできません。調査結果を使った後続の操作には、通常の権限・承認ルールが適用されます。安全性の公式説明

Custom Rulesは、操作ごとの承認条件などを設定する機能です。たとえば顧客への送信前に確認を求めるルールを設けられます。また、アカウントや情報共有に影響する操作には、自動レビューが働きます。返信案の作成を頼むだけでは送信の許可にはなりません。これらの仕組みがあっても誤りは起こり得るため、重要な成果物の確認は必要です。操作と承認の公式ガイド

アプリを切断しても、取得済み情報は消えない

アプリの接続解除は、その接続による新たなアクセスを止めます。dotがすでに文脈に取り込んだ情報は、それだけでは削除されません。また、Business・Enterprise・Eduの内容は既定でモデル学習に使われませんが、個人向けプランではデータ設定が関係します。業務情報を扱う前に、接続範囲とデータ設定を確認してください。プライバシーFAQ

限定提供や将来構想を、利用可能な機能と分ける

テキストメッセージは、公式ヘルプでは米国Pro利用者向けの限定ベータとされています。一方、別の公式ガイドには近日対応との記載が残っています。日本で一般に使える連絡手段としては扱えません。公式ヘルプ・連絡方法のガイド

組織の特定業務を担当する専門dotsは、限定的な企業向けパイロットとして紹介されています。複数のdotsがチームで働く姿や、追加のdots・作業能力の拡張は将来の構想です。公式発表


dotsを始めるには

最初のdotは、ChatGPTのデスクトップアプリまたはPCのブラウザーで作成します。

公式の開始手順は、dotを作成し、案内に従って設定する流れです。モバイルアプリでは対応更新が届いた後に利用できますが、モバイルからの新規作成とモバイルWebには対応していません。開始方法の公式ヘルプ

最初は、使う資料と作ってほしい成果物に加え、送信や公開を任せるかも伝えてみましょう。次の文面は、公式の作業・承認の仕組みを踏まえた説明用の依頼例です。動作確認済みの手順ではないため、実際に使う際は結果を確認しながら調整してください。

添付した公開資料だけを使って、製品の概要を1ページにまとめてください。新しい資料を私が渡したら変更点を反映してください。社外への送信や公開はせず、この会話に確認用の案を出してください。

進行中の仕事はActivityで、定期実行はScheduledで確認できます。Pauseで止まるのは現在の主タスクで、委任したタスクや将来の定期実行は別途確認・停止が必要です。作業の確認・停止


CXにはどのような影響が考えられるか

顧客の声を、改善案や対応準備につなげるまでの時間を短くできる可能性があります。

CX(顧客体験)の観点では、問い合わせ対応を支える使い方が考えられます。たとえば、接続を許可した問い合わせ情報から繰り返される困りごとを整理し、FAQの修正案を用意する用途です。OpenAIが紹介する、顧客の意見を確認して改善案を作るという用途を、問い合わせ対応に応用した考え方です。

導入を試すなら、「返信案を作る」「顧客へ送る」「返金などを約束する」の範囲を分けて決めると、承認機能を業務に合わせて使いやすくなります。評価では作業時間に加え、回答の誤りや、顧客が同じ説明を繰り返す負担も確認するのがよいでしょう。自動化の速さだけでは、体験の良し悪しを判断できないためです。

ただし、ここで紹介した機能や用途例だけでは、顧客満足度や問い合わせ解決率がどれだけ改善するかは判断できません。効果は導入前後の状況を比べ、自社の業務で確かめる必要があります。

CXの意味や顧客との接点については、CX(顧客体験)の基本で補足しています。


まとめ

dotsは、目標・文脈・接続したツールを使い、継続的な仕事を担うOpenAIのAIエージェントです。

  • ✓専用クラウド環境を持ち、会話の合間にも仕事を進められます。
  • ✓提供対象・利用枠・操作権限には条件があります。
  • ✓限定提供や将来構想を、現在使える機能と区別する必要があります。

まずは公式の開始案内で利用条件を確認し、任せる資料・作業・承認の範囲を絞った依頼から試すと、業務に合うかを判断しやすくなります。