サービスブループリントは、顧客の行動と、それを支える人・情報・業務の関係を可視化する図です。顧客から見える接点に加え、裏側の確認や引き継ぎも同じ流れに並べます。NN/gの定義では、特定の顧客の目的に対応する業務のつながりを扱っています。

作成時は、一つの手続きに範囲を絞ると、誰が何を渡すかを確認しやすくなります。この記事では「教室の予約変更」を架空例として、記入済みの表と空欄ひな型を示します。実在企業の業務や改善実績ではありません。


ジャーニーマップとの違い

顧客の体験を追うマップに、サービスを提供する側の動きを重ねます。

NN/gは顧客行動、顧客から見える対応、見えない業務、支援する処理、証拠となる物や画面を説明しています。可視線は、顧客から見える対応と見えない業務の境界です。顧客との直接のやり取り、内部の担当間のやり取りも区別します。

「何を感じたか」を整理したいときはカスタマージャーニーから始めます。「なぜ案内が遅れたか」「変更結果が受付へ届かなかったのはなぜか」を調べるときは、ブループリントで情報の経路を確認します。どちらも、担当者の想像だけで顧客の行動を埋めないことが大切です。


予約変更の記入例

一つの変更依頼を、確認から完了まで同じ順番で追います。

次の表は、架空の教室で会員が来週の授業を変更する場面を想定した設計例です。上から「顧客行動」「表側」「裏側」「支援」「証拠」の5層を読みます。表側と裏側の境界が可視線に当たります。担当名は説明用で、実際の権限は自社で確認してください。

層変更を依頼する空きを確認する変更を確定する完了を知る
顧客行動予約画面で候補日を選ぶ回答を待つ提示された日時を了承する新しい予約日時を確認する
表側の対応受付画面に依頼番号を表示受付担当が確認中と案内受付担当が確定内容を示す確定通知と予約一覧を表示
可視線────────────────
裏側の業務受付担当が元の予約を照合教室担当が席と講師を確認教室担当が元予約解除と新予約登録を確認受付担当が通知結果を確認
支援する処理予約管理システムで依頼を記録空き枠と講師予定を参照変更記録と承認者を保存通知配信と履歴を記録
証拠依頼受付画面確認中の表示変更確認画面確定メールと予約一覧

「確定メール」と「予約一覧」が別の日時を示すなら、文章の説明だけでは直りません。新予約の登録結果を確認してから確定通知を出すという依存関係を調べます。上の表は依存関係を読むための簡略版です。複数の経路がある実務では、矢印や依頼番号を加えて分岐を明示します。


作り方の5つの手順

範囲、観察、担当、引き継ぎ、改善候補の順で具体化します。

1. 対象と開始・終了を決める

「すべての顧客対応」を一度に描くより、「通常授業の予約変更を受け付けて顧客が新日時を確認するまで」と区切ります。締切後や満席の場合は別の分岐として追加します。目的は、対応を美しく図示することより、変更漏れを調べられる状態にすることです。

2. 顧客の行動と証拠を集める

予約画面の操作、問い合わせの履歴、顧客への聞き取りを照合します。「待つ」の長さが問題なら受付時刻・回答時刻も記録します。個人情報を図の共有資料へ転記せず、確認に必要な記録番号を使います。顧客インタビューは行動の背景を聞く補助手段です。

3. 表側・裏側・支援を担当者と確認する

顧客に説明する担当と、予約を変更できる担当を区別します。同じ担当者が両方を行う場合も、顧客から見える説明と内部処理を分けます。システム名だけで埋めず、どの記録を誰が確認するかを聞いてください。

4. 渡す情報と完了の条件を記す

受付担当から教室担当へ渡すのは、依頼番号、元日時、候補日、変更期限、確認済み事項です。戻す情報は「確認済みの新日時」と「処理が完了した記録」です。返事が来ない場合の担当と期限も決めます。確認待ちを完了として扱うと、図が正しくても顧客への案内が食い違います。

5. 一つの障害を直して確かめる

通知の出し方を変える案なら、通常変更、満席、締切後、通知失敗という経路で試します。全経路を一律に通過できるとは考えず、それぞれで顧客が次の行動を判断できるかを見ます。試験の条件と結果を残し、修正前と同じ条件で再確認します。


コピーして使う空欄ひな型

記入例と同じ5層に、確認した内容と未確認の箇所を書き込みます。

目的、対象顧客、手続きの開始・終了、確認日、図の責任者を先に記載してください。列の段階名は、実際の順序に合わせて変更できます。空欄をもっともらしい推測で埋めず、未確認と書いて担当者へ確かめます。

層開始[段階名]確認[段階名]処理[段階名]終了[段階名]
顧客行動[何をするか][何を待つか][何を選ぶか][何を確認するか]
表側の対応[見える画面・対応][案内と担当][見える確定内容][完了の案内]
可視線────────────────
裏側の業務[照合する記録][確認と担当][処理と権限][結果の確認]
支援する処理[必要な情報][参照元][保存する記録][失敗時の処理]
証拠[画面・書面][顧客が見る情報][確認できる記録][完了の証拠]

引き継ぎ条件の記入例と空欄

層の表に加え、業務を渡す相手と完了の確認方法を残します。次の期限は架空例の運用案であり、標準値ではありません。

項目予約変更の記入例自社の記入欄
渡す相手受付担当から教室担当へ[送り手・受け手]
渡す情報依頼番号、元日時、候補日時、対象講師[必要な情報・参照元]
完了条件教室担当が元予約解除と新予約登録を確認して受付へ返す[確認する記録・返答先]
期限当日の受付終了までに可否を返す[具体的な期限]
期限までに未完了受付が顧客へ確認中と次の回答予定を案内する[担当・連絡・次の確認]

作って終わりにしない確認方法

図の正しさと、顧客への案内が改善したかを別々に確かめます。

架空例の教室なら、変更依頼の総数、日時の訂正が必要だった依頼数、回答までの時間を追います。変更依頼100件のうち日時訂正が8件なら8%です。翌月2件でも、総数が20件なら10%であり、件数だけでは改善と判断できません。

キャンペーン、担当変更、授業の増減も影響します。図を作った前後の差だけで効果を断定せず、どの処理を変えたか、同じ種類の依頼で何が変わったかを確認します。新しい受付経路や担当が加わったら図の責任者が更新してください。


まとめ

サービスブループリントは、一つの顧客の目的を支える業務と引き継ぎを確認するために使います。

  • ✓顧客行動と、表側・裏側・支援・証拠を同じ流れに並べます。
  • ✓担当名だけでなく、渡す情報と完了の条件を記録します。
  • ✓例外経路を描き、確認待ちと確定を分けます。
  • ✓修正した処理と、同じ条件での結果を残します。

まず一つの手続きを選び、上の空欄ひな型へ記入してください。顧客に見える案内と内部の処理結果が一致しない箇所から、担当者と確認を始められます。